大事なのは積み重なって来た歴史を実感すること

砺波洋子
メッセージ

々な事件が多発して、心が傷むことが多い今の社会です。事件の詳細などを見ても当事者に重みが感じられず、社会の恐さを理解していないことがよくわかります。こうしたことが起こる理由として、2つの背景を挙げることができます。

一つは、情報機器の劇的な変化です。ボタン操作だけで欲しかった回答が得られるため、真心や努力、先人への敬意といったものが忘れ去られ、どんな成果もすべて自分の力だけで成しえたような「万能感」にとらわれてしまうのです。

もう一つの背景は、縦の関係が軽視されていること。昨今の親は、子どもと友だちのような関係をつくることに一生懸命で、親としてきちんとしつけるという縦の関係を築けていません。このため若年層は大人=社会の怖さを実感しないまま社会に出ていきます。ゲーム感覚で犯罪に手を染めている若者が増えているのは、大人が本気で取り組んだときの恐さを実感していないからです。

物事の結果の前には数えきれない試行錯誤があり、それが歴史となって人類の生活を根底から支えています。その事実を無視して自分の能力を誇示する人は、自分の立場をわきまえていないのです。大事なのは、積み重なって来た歴史を実感すること。それができるように若年層を導くのも、私たち大人に課せられた大事な使命なのです。